ヤマダが今までつくったヘアスタイルはこちらから。
切った髪の毛は袋がいっぱいになると契約している業者さんが回収に来てくれます。髪の毛が外にこぼれないように慎重に袋の口を閉じつつ、茶色と黒が混じった綿菓子のような髪の毛を見ていたらヤマダ、若き日の甘酸っぱい思い出がよみがえりました。
20年ちょっと前、ヤマダは東京造形大学という美術大学に通っていました。美術大学に在学していたもののロクに勉強などせず、かといって創作活動にひたむきに打ち込むわけでもなく、バウハウスや澁澤龍彦の書籍を眉根を寄せながら斜め読みしてアート系の学生を気取りつつ、アタマの中はほぼ女子にモテたいことでいっぱいの日々を送っていました。
2年生の夏が真っ盛りのころ、ヤマダはひょんなことから多摩美術大学に通う女の子と知り合いました。すらりとした長身で手足が長く、ヘアスタイルは黒髪のボブ。小さな顔の中にある勝ち気で縁取られた大きな目が印象的な女の子でした。
今も昔も変わらずドMなヤマダはこのタイプにめっぽう弱く、折しも夏の終わりに彼女が「自分の作品を観に来てほしい」と学校祭に誘ってくれたのです。ぼさぼさの髪に膝の抜けたデニム、磨り減ったエンジニアブーツでオートバイを乗り回していた冴えないメンズに彼女のような素敵な女の子が声をかけてくれるなんて!コレはアレなんじゃないの?!今っぽく言うとワンチャンあるんじゃないの!?
多摩美にオートバイを乗り付けて、ちょっとカッコつけながら待ち合わせの場所に行くと気高い黒猫のような彼女が待っていました。やっぱりかわいい!むふふ♡21歳はニヤつきが止まりません。
展示は校舎の2階と言われ、彼女の後について階段を登っていきます。21歳はもう完全に展示作品はどうでもよくなっていてあわよくば彼女とワンチャンあるかもでアタマはいっぱいでした。
気もそぞろに展示作品がある教室に入りました。どうする?どうすれば、どうすればワンチャンに持ち込める?!考えろ、アタマを振り絞るんだ!
「セイリュウくん。セイリュウくん!」彼女の呼びかけで我に帰りました。「コレ、わたしの作品なの」
落ち着け、オレ。ワンチャンの前にまずは彼女の作品だ。とにかく褒めるんだ。大袈裟にならず、それでいて的確に。ココは確実にポイントを取りにいかないといけない正念場だっ。
きりりと表情を引き締めたヤマダの眼前には
髪の毛でつくった巨大なかまくらが!
「どうかな?感想おしえて」
6年後に美容師になるとは想像もしていない21歳のヤマダにはおびただしい量の髪の毛への耐性が全くありません。何だコレは?何なんだコレはっ?!気持ちわるいっ。なに?中に入ってみろだ?ムリ!ずぅえっっったいにムリ!
それでも訳わかんねぇ。気持ち悪い・・とは口が裂けても言えなかったヤマダはすっかりワンチャンあるかもな気分も失せ、ちっとも的を射ていない感想を2つ3つぼんやりと答えたあと教室をあとにしました。
わー!髪の毛でかまくらをつくるなんてスゴイ!スゴイ視点だよ!
笑顔でこんなことを言えたらワンチャンあったでしょうか。あったかもよ?あんまり過去に未練はない性格ですが、もしタイムマシンがあったらこの時だけには戻りたい。21歳のオレに二人羽織して彼女を褒めちぎりたい。
きょうと明日は連休です。木曜日おまちしてます♡
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